ギグ・エコノミー時代、日本人に欠けてる「パーソナルブランディング」

自由裁量が認められ、自己貢献の認知がある働き方を重視するミレニアルズの価値観や、場所や時間に拘束されない働き方を可能にしたテクノロジーの進化により、単発のフリーエージェントとして働く「ギグワーカー」が増えていることがここ数年で話題になっています。

人事関係者の間でも、数年先を見据えて「ギグ・エコノミー」時代にどのように対処していくのかが国際カンファレンスの場で話題になり、10月初旬にヨーロッパで開催されたカンファレンスでも、ギグワーカーの働き方支援や、積極的にギグワーキングを選ぶミレニアル世代にとっての課題は何かということが議論されました。

ギグ・エコノミーの拡大と影響

「ギグ・エコノミー」とは、組織の正社員として雇用されることなくプロジェクトベースや時間単位などで働く独立した労働者と契約する自由市場制度、隙間時間や場所を問わず選択と契約が可能な働き方市場です。

米国Intuitの調査によると、2020年までにアメリカ人労働者の40%がフリーエージェントとしての独立請負業者になると予測されています。また、オックスフォード大学のインターネット研究所が2017年7月に発表したレポートでは、その時点ですでに過去1年間で26%も拡大したことが報告されていました。

日本でも、ウーバーやWeWorkなども上陸し、新しい働き方の認識は着々と進んできていると言えます。しかし実態は、やっと副業・兼業という働き方が容認される環境になってきたという状況。政府主導ながら「働き方改革」推進のおかげで、テレワークを実施する企業がようやく増えつつある段階です。

しかし、ギグ・エコノミーの労働市場が国内に限定されることのない幅広い人材の選択を可能にしているとすれば、日本国内の法制度や働き方の環境がまだ整っていないことは、むしろグローバルのギグワーカーの活用を推進させることになるかもしれません。

ギグ・エコノミーの拡大は、労働環境の多様化をもたらし、一定期間の契約社員や専門性を持って短期間働くギグワーカー、フルタイム社員が混在で働くことを可能にします。それは、フルタイム雇用者であることに胡坐をかいていられない状況を生み出しているとも言えるでしょう。

ギグ・エコノミーに備えるための「パーソナルブランディング」

同じ副業でも、ウーバーなどのように隙間時間を埋める働き方と、専門性を活かしたコントラクトを得る働き方とでは、アプローチの仕方が違います。

専門領域に特化したプラットフォームに登録する際にも、自分がどのようなキャリアゴールを持っているのか、ソーシャルネットワーク上でどのように認知されたいのか、どのようなパーソナルブランディングを目指しているのかによって選ぶなど、米国では、ギグワーカーが増えるにしたがって「パーソナルブランディング」を指南する研修も盛んになっています。

フルタイムワーカーだからと言って、社内プロモーションは安泰とはならないギグ・エコノミーの時代に備え、パーソナルブランディングは、キャリアマネジメントを考える全ての人に必要なこととして捉えられ始めました。

パーソナルブランディングは、キャリア上の評判だと位置づけることもできるかもしれません。

米国では、ギグワーカーとの契約時のみならず、フルタイムワーカーの採用時にも、ネット上にみられる評判、仕事の履歴、場合によっては、その他ソーシャルネットワーク(SNS)上の情報もチェックされるといわれています。

ギグ・エコノミー時代においては、SNSの使い方が採用や雇用に影響を与えるという意味で、学生のころからパーソナルブランディングを考えたSNSの使い方や選び方を指導した方が良いとさえ言われています。

ギグ・エコノミー時代に働く人にとって、どのSNSがもっとも自分のキャリア目標の実現に合っているのかを考えて選ぶことを研修などで提供している会社もあります。

日本ではまだまだ積極的な利用が少ないようですが、プラットフォームの選択の第一に上げられるのがリンクトインです。

現在キャリアプラットフォームとして最も検索の上位にくるリンクトインですが、情報のメインテナンスも含め、プロフェッショナル分野における情報提供の仕方など、ギグワーカーとしてのキャリア形成を指南するビジネスもあります。

パブリックにおける従業員の評判(働いている会社でどのような学びを得ているか、キャリア形成に必要な専門性を磨いているかなど)は、企業にとってもブランドを維持する上で重要な要素であるとして、リンクトインへの登録を推奨している企業もあるようです。

ギグワーカーの課題

人生を充実させる働き方としてのギグワークが注目を浴びる一方、どう自分の専門性を磨き、キャリアパスを築いていくのか、競争過多になるワーク市場におけるオーバーワークや低費用での契約などが起こさないようどうコントロールするのか、といったことも課題として浮かび上がってきています。

ギグワーカーが利用するプラットフォームのアルゴリズムのマネジメント技術が、高度な柔軟性、自律性、タスクの多様性、複雑性を提供する一方、その制御メカニズムは、低賃金、社会的孤立、非社会的および不規則な労働時間、過労、睡眠不足および疲労の原因ともなり得うることをオックスフォード大学のAlex J Wood、Mark Graham教授らがリサーチ結果として「Good Gig, Bad Gig: Autonomy and Algorithmic Control in the Global Gig Economy」の中で警告しています。

また、Vlerick Business SchoolのリーダーシップとコーチングのKatleen De Stobbeleir教授も、「これらのプラットフォームは、組織への帰属感を得られないことからくる社会的孤立、求められる高い自主性と責任など、心理的リスクをもたらす。仕事上のバランスと罪悪感を悪化させる可能性もある」とも述べています。

柔軟性と自律性を選んだ結果として求められる責任や働き方は、相当の自己マネジメント能力を要するでしょう。

各人の貢献を最大化できるマネジメントの仕組みも取り入れている、フラットでオープンな組織にとっても同様のコンピテンシーが求められるという意味で、働く環境は、ますます私たちに高度な自己マネジメントを求めてきています。

ギグ・エコノミーの影響がグローバル規模で起きていることを考えたとき、日本の企業で働いている従業員は、それを踏まえた経験や研修、働き方が提供されているでしょうか? テレワークや副業がようやく認められ始めたという状況には、やや不安を覚えます。

とは言え、日本でもシニア層を対象としたスポットコンサルティングサービスプラットフォームも拡大を見せ、ミレニアル世代の働き方の延長上から語られるギグワーカーとはまた違った側面から、働き方の支援やコミュニティーネットワークを作る仕組みも必要かもしれません。

いずれにせよ、始まっているギグ・エコノミーの時代。「後発組」としては、ネガティブ側面のみにフォーカスしてしまうことなく、その良さを取り入れるチャレンジが今始まったばかりと言えるかもしれません。(Fobes)

 

企業での昇給があてにできないケースでは、会社に頼らない収入の柱を得ておくのは、今後必須になっていくかも知れません。

 

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