副業の手取りを高くしたい人に教えたい基本

「不動産投資で節税しよう」

「プライベートカンパニーを作って税金を取り返そう」

「税理士は教えてくれない! 経費を使った賢い節税」

こうした情報商材のキャッチコピーを見たことがある人は少なくないでしょう。実はこういった情報をこれまで遠い世界のように感じていた人も、一度は自分のこととして考える必要が出てきたのです。

5月31日に「働き方改革関連法案」が衆議院を通過しました。これに関連して昨年政府がまとめた働き方改革の実行計画では、副業・兼業の推進を掲げています。

先駆けて今年1月に厚生労働省はモデル就業規則を「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」と、改定しました。つまり、今後は副業・兼業が認められることがスタンダードになってくることが考えられるわけです。

サラリーマンが実際に副業・兼業をすることになった場合、税金や社会保険料にも気を配らなければなりません。

副業、兼業には、以下のようなものが考えられます。

A)他社でアルバイト
B)不動産投資
C)株式投資
D)FXやビットコイン投資
E)ネイルサロン、ネットオークション、フリーマーケットなどでの小商い。アフィリエイト収入。セミナー講師、原稿料など

いずれも「年末調整を本業で受ける」サラリーマンが副業として行う場合には、A)のような給与として受け取るケースではアルバイト先から受け取る給与額面が年20万円以下、B)~E)のような給与以外の収入のケースでは収入から経費を引いた額が年20万円以下のケースにおいては、所得税の確定申告義務がありません。

ただし、年間給与収入が2000万円を超えているなど、もともと確定申告義務のある人や、医療費控除を受けるなどで確定申告をする人は、A)からE)が20万円以下であっても確定申告をして納税する義務があります。

まずは、給与以外の収入に課される所得税の区分について、若干専門的ではありますが、節税に関する部分ですので知っておく必要があります。

所得税法では所得の種類を10種類に分類しています。

(1)利子所得
(2)配当所得
(3)不動産所得
(4)事業所得
(5)給与所得
(6)退職所得
(7)山林所得
(8)譲渡所得
(9)一時所得
(10)雑所得

A)は給与所得、B)は不動産所得、C)は譲渡所得、D)は雑所得、E)は、副業として行っている場合には雑所得、独立して営利性をもって反復継続し、社会的地位から見て事業として行っている場合には、事業所得となります。

副業、兼業を行う際、どのような形態をとりうるのか?

また、兼業・副業を行う際の形態には以下の3つが考えられます。

(Ⅰ) 雇用契約により副業先の従業員となる〔A)のケース〕
(Ⅱ) 個人事業主としてB)~E)の事業を行う
(Ⅲ) 自身が法人を設立して会社でB)~E)の事業を行う

それでは、形態ごとの課税などの関係を見ていきましょう。

まず、(Ⅰ)の雇用契約で副業先の従業員となる場合ですが、副業先での勤務が原則30時間を超える場合には、副業先でも社会保険料を支払う必要が生じます。また、額面額が年20万円を超えるようであれば、本業の給与と合算して確定申告をする義務も生じます。

つづいて、(Ⅱ)の個人事業主として行うケースですが、いずれも給与として受け取るわけではないので社会保険料の負担はありません。

この中で、B)の不動産投資の場合には、青色申告を行うことで青色申告特別控除を受けることが可能です。また、損失が生じた場合には、本業の給与からその損失を差し引いて税額を計算することが可能です。

C)の株式投資は譲渡所得に該当し、源泉徴収ありの特定口座で運用している場合には、利益が出ても確定申告の必要はありません。逆に、損失が出た場合には、B)とは異なり給与所得からはその損失を差し引くことはできません。

そして、D)のFXやビットコイン投資は雑所得に分類されます。利益が20万円を超えれば納税となりますが、雑所得から生じた損失は給与所得から差し引くことができないことになっていますので、損失が出ても税額が減ることはありません。

最後にE)は「副業」として行っている場合には雑所得となり、D)と同様に利益が20万円を超えれば納税となり、損失が出ても給与所得から差し引くことはできません。

一方で、「兼業」レベルつまり継続反復して事業として行い、事業所得となる場合には、損失が出れば、本業の給与所得からその損失を差し引いて税金を計算することが可能です。

役員報酬には社会保険加入義務が生じる

最後に(Ⅲ)の法人を設立して会社で事業を行う場合、稼いだ所得を個人で使うには「役員報酬」つまり給与として会社から受け取るか、「配当金」として受け取る必要があります。

そして役員報酬には時間概念がありませんので、働く時間にかかわらず社会保険加入義務が生じます。さらに、会社にも給与天引きされる社会保険料と同額の会社負担が生じることになります。

また、法人が獲得した収入から役員報酬とその社会保険料の社会負担分、その他の原価、販売費および管理費を差し引いた利益に対しては法人税が課されることになります。

配当金は法人税を支払った後に残った利益から個人へ支払うことになります。さらに、個人で受け取った配当金は、配当所得という区分に分類され、20万円を超えれば、給与と合算されて課税を受けることになります。

役員報酬で受け取るのが得か、配当金で受け取るのが得かは、個人の所得や社会保険料の負担状況によります。

細かい金額の計算は割愛しますが、結論を言えば副業分をどうもらうかの手取り額は、

本業+アルバイト>本業のみ>本業+個人事業>本業+法人

の順になります。

プライベートカンパニーは個人であれ、法人であれ損になります。給与でもらうのがいちばん得なのです。実際には本業とプラベートカンパニーの比率で結果はわかりますが、金額を変えても基本的にはこの図式に変わりはありません。

また、所得税と住民税を合わせた「税」よりも、雇用保険と社会保険を合わせた「社会保険料等」の額のほうが大きいというところもポイントです。

経費を増やせば「税」は減りますが、給与額面にかかる社会保険料等は、給与そのものを減らさないことには減ることがありません。「税」だけに着目すると損をすることになります。

プライベートカンパニーを作るのは得なの?損なの?

最後に「プライベートカンパニーを作って経費を使うと節税ができるのか」という点について考えてみましょう。

拙著『その節税が会社を殺す お金に強い社長がコッソリやってる節税&資金繰りの裏ルール31』でもお伝えしているように、そもそも個人であれ、会社であれ、事業に直接関係のない支出は経費としては認められません。たとえば、仕事と関係のない友人との飲食代や、個人の趣味に関する支出、あるいは個人の食事代や被服費といった生活費を支出しても、税金計算上の費用にはなりません。

税務署も所得の小さなプライベートカンパニーに調査に入ることは少ないので、本来経費とならないものを確定申告で経費にしていても、「たまたま見つかっていない」だけのことです。

その意味では、下手にプライベートカンパニーで経費にするよりも、給与で受け取り、概算経費である給与所得控除を受けるほうが、実際に有利というケースは多く見受けられます。

また、不動産所得と事業所得の場合には、事業に関係する費用がその収入を上回る場合には、所得税、住民税を計算する際に、その損失を本業の給与から差し引くことができるとお伝えしましたが、それは、その副業、兼業の赤字を本業の給与で穴埋めしているということにほかなりません。

たとえば、所得税と住民税を合わせて20%の人であれば、兼業で10万円赤字を出しても税金が2万円安くなるだけです。確かに2万円は節税できますが、10万円から2万円を差し引いた8万円は本業の給与から補填していて、実際に損しています。

「節税」という言葉は強い魔力を持っています。「節税」の本来の目的は「手元に少しでもおカネを残しておきたい」というところにあったはずです。ですから、「プライベートカンパニーで節税はできたが、手元のおカネは節税額より数倍減った」ということになっては、本末転倒と言えるでしょう。(東洋経済オンライン)

 

 

不動産投資については最近も社会問題にもなった「スルガ銀行の不正融資による シェアハウス投資トラブル」が挙げられますが、基本となるのはしっかり申告をすることからでしょうか。

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