ギグワーク、世界経済に貢献

知識やデータが巨大な価値を生み出す時代に、経済活動のあり方はどのように変容していくのか、内外の有識者に聞いた 。

――ネットで単発の仕事を請け負う「ギグワーカー」が増えています。

「外注といえばかつては多くが、大企業によるコンサルティング会社などへの委託だった。ギグエコノミーの拡大は、外部の専門的な労働力を活用する機会を中小企業にも与えたことに意義がある。働く側からみると、技能さえあれば場所や時間に関係なく柔軟に、より高い収入を得られる可能性が生まれた。生産性を引き上げ、世界経済に恩恵をもたらしている」

「オンラインの労働市場には、子育てや体が不自由などの理由で外出が厳しく、伝統的な働き方を選ぶのが困難な人が大勢流入している。我々の研究では移民が多いことが分かった。技能があっても移民だとの理由だけで職を得るのが難しいことがあるが、オンラインなら差別に遭いにくい」

――負の側面にも注目していますね。

「社会保障をどう充実させていくかが課題になっている。(ギグワーカーには)年金や失業保険の枠組みから漏れている人が少なくない。自ら手配しない限り、彼らは社会保障制度から置き去りになってしまう。自営業者と同じで育児休業などはない。自宅勤務を続けることで孤独にさいなまれる人も出ている」

――労働者の権利保護へ従業員として扱うべきだとの議論があります。

「自営業者と従業員のどちらに分類すべきか、今の法律の下ではとても難しい問題だ。ギグワークは、ウーバーの運転や料理宅配のような『ローカル』と、ネットを通じて作業を受注する『オンライン』に分けられる。前者では従業員とみなされるケースがこれから増えていくと思う」

「一方で、例えば様々な顧客からソフト開発を請け負っている人は、自営業者とみなすのが正確だろう。プラットフォームは彼らが仕事を探す手段にすぎない。従業員とみなされれば労働時間などに規制が課され、利点だった柔軟な働き方が縛られる。自営業者でも従業員でもない新たな分類を作るべきだとの意見もあるが、複雑になってしまう」

――デジタル分業の健全な発展にはどんな政策が必要でしょうか。

「雇用形態にかかわらずカバーされる社会保障の仕組みが必要ではないか。ユニバーサル・ベーシックインカム(全員対象の最低生活保障)などがあり得る。保障の網を全ての非正規労働者にどう広げるかを考えることが大切だ」

――労働市場は将来的にどう変容するでしょうか。

「企業文化を維持するためには中核を担う働き手が必要で、正社員がギグワーカーに全て置き換わっていくとは考えにくい。ただ、正社員の性質はギグに徐々に近づいていく。プロジェクトベースの働き方が増えて転職が当たり前になる。終身雇用は衰退していく」

「ギグワーク市場の労働需給を分析すると、全体では供給過剰になっている。だが、ソフトウエア開発やデザイン、映像制作といった高度な専門技能への需要は根強い。フリーランスを志す人には、最初は普通に働いてスキルと経験を身につけることを勧めたい」(日本経済新聞

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