「スキルアップ副業」の思わぬ「落とし穴」

働き方改革の影響で、会社勤めをする多くの方の帰宅時間が早くなったと思います。その分、「仕事がたまるばかりで終わらない」「残業代が入らない」という嘆きも聞こえてきますが、「プライベートが充実した」「子どもとの時間が増えた」といったプラスの影響があった人も少なくないでしょう。なかでも、「時間があるので、副業したい」と考える人が格段に増えているようです。

 副業には収入以外にも、さまざまなメリットがあります。副業から得られること、さらに副業をすることで社会保険にどんな影響があるかを見ていきましょう。

■「就業規定の変更」が副業を後押しする

 厚生労働省では、働き方改革の一環として、副業・兼業の普及促進を進めています。これまで副業というと、隙間時間を使って「家計の足し」になる仕事をするイメージがあったかもしれません。しかし、厚労省の狙いはそれとは少し異なるようです。副業なども含めて多様な働き方を促すことで、「イノベーションを後押しする」効果を期待しています。

 労働者を常時10人以上雇用している会社には、就業規則を作り、労働基準監督署に届け出をする義務があります。厚労省は就業規則の参考となるモデル従業規則を策定していますが、その中でも副業について言及しています。

 以前は「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定がありましたが、これを削除。「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」(第67条)という規定が新設されています。

 モデル就業規則は、各企業が必ずそのとおりにしなければならないものではなく、あくまで「モデル」ですが、実際のところ、副業を認める企業や、前向きに検討する企業が増えているようです。平成26年度調査では副業を容認する企業は約15%でしたが、今後は副業も珍しいことではなくなっていくかもしれません。

 副業のメリットは主に2つあります。1つ目は本業とは別のスキルや経験を得ることで「新しいキャリア形成」につながること。2つ目が生活費は本業で稼ぐ分、副業ではそれほどお金を気にせず「自分がやりたいことに挑戦できる」ことが挙げられます。

 例えば、「異業種に転職したいけど、自分に適しているか不安」という人が、副業で就きたい業種で働くケースが当てはまります。また、「本業は研究開発をしているけど、実は将来カフェを経営してみたい」と思っている人が、週末だけカフェでアルバイトするなど、将来の転職や起業に向けた準備として副業を活用するケースも増えています。

企業では、希望すれば再雇用制度で65歳まで働くことができますが、「人生100年時代」では、65歳まで働いてもさらにその先に30年前後の老後があります。公的年金で足りない分は老後資金を準備しなければなりませんが、老後の年数が長ければ用意すべき額も膨らみます。

 老後資金をより多く準備するには、収入を増やす必要もあり、副業はその助けになります。もちろんそれだけでも大きな意味がありますが、私が着目しているのは副業でスキルを身に付けることの副次的作用です。

 本業以外に複数のスキルを身に付けておけば、会社を辞めた後も副業を継続し、65歳以降も収入を得ることが十分可能になるからです。夫婦で月20万円程度の年金があり、仕事で月数万円の収入を得ることができれば、基本的な生活費は賄うことができます。さらに、働ける間は年金を受け取らず、繰下げ受給にして年金を増やす、という選択肢も生まれます。

働いている間、資産を取り崩さなくて済めば、かなり安心でしょう。つまり、細くても長く働くことは、老後資金をつくるのと同様に大事なことであり、その意味でも現役時代から副業を持つのは大きな意味があるといえるのです(『65歳以降「毎月5万円稼ぐ人」に訪れる幸福』を参照してみてください)。

■副業先でも社会保険加入が必要なケースも

 副業をする際、「社会保険」がどうなるかも知っておきましょう。社会保険とは、健康保険、介護保険、年金保険、労災保険です。

 副業にもさまざまな形がありますが、本業の勤務先とは別の会社でアルバイトをする(雇用される)場合には、社会保険の加入条件に該当する可能性があります。

 該当するのは、1週の所定労働時間、および1カ月の所定労働日数が常時雇用者の4分の3以上の場合です。

 また、➀1週の所定労働時間が20時間以上ある、②1年以上の雇用が見込まれる、③賃金の月額が8万8000円以上、④学生でない、⑤常時501人以上の企業(特定適用事業所)に勤めている(常時500人以下の企業でも、労使合意に基づき申出をする事業所および地方公共団体に属する事業所で務めている場合は加入対象)のいずれにも該当する場合も、社会保険加入となります。

 社会保険の加入要件に該当する場合は、年金事務所に「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出するなど、事実発生から10日以内に自身で手続きする必要があります。郵送でも手続きできます。

社会保険料は、本業と副業の給与の合計をベースに金額が決まり、保険料は本業の勤務先、副業の勤務先、それぞれに請求されることになります。仮に、給料が本業2対副業1の割合なら、本業の勤務先で2万円、副業の勤務先で1万円と、保険料は3万円になります。

 年金事務所から各社に社会保険料の金額が通知され、それぞれの会社で、毎月の給料から該当する社会保険料が天引きされます。労災の保険料は、全額事業主負担です。

 収入が増えれば、その分、社会保険料の額は多くなります。では、給付には影響するでしょうか。

 厚生年金保険は納める年金保険料の額と、保険料を納める期間が年金額に影響します。そのため、副業で収入が増えて保険料が多くなれば、原則的には年金額も多くなります。

 健康保険については、基本的に給付の内容は変わりませんが、主に中小企業の社員が加入する協会けんぽより、大企業に多い健康保険組合では、高額療養費の上乗せ給付(自己負担上限が2万円から3万円)がある組合があります。場合によっては副業先の制度を選ぶこともできるので、どちらの健康保険をメインにするのが有利か、調べてみてもいいでしょう。

■勤務先に知らせず副業したらどうなる

 副業には、会社などから雇用されるほかに、ブログを書いてアフィリエイト収入を得るなど、個人でインターネットを利用して行うものもあります。

 どこかに勤めることなく収入を得るのは個人事業主としての副業であり、社会保険には影響しません。副業が事業所得や雑所得の場合、本業の会社の社会保険にのみ加入することになります。

 社会保険料の額も本業の給料分のみで計算され、副業で得た収入は影響しません。ただし、副業の所得が20万円を超える場合、確定申告をして、税金を納める必要があります(住宅ローン控除や医療費控除を受けるために確定申告する場合は、副業の所得が20万円以下であっても申告書に記載します)。

 副業にはさまざまなメリットがありますが、副業によって働く時間は長くなります。現在の仕事に支障があっては元も子もありませんから、体力的に、もしくは健康面で問題がないか、しっかり考える必要があります。

 また前述のモデル就業規則では、副業にあたっては事前に会社に届け出ること、という規定が設けられています。実際のルールは会社によって異なりますが、就業規則はしっかりチェックしましょう。

 さらに、副業によって本業に支障を来した場合、企業秘密が漏洩した場合、会社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破棄する行為がある場合、競業により企業の利益を害する場合など、禁止条項に触れると、副業を禁止、制限できる規定も設けられています。いずれも当然のことですが、副業によって本業を失うような事態は避けてください。

 ちなみに、副業でも社会保険に加入する場合は本業の勤務先に連絡が行きますので、副業禁止の場合は問題になることが予想されます。

 ぜひ前向きに、実り多い副業を考えてみてください。(東洋経済ONLINE)


副業に否定的な意見の人の中には、本業をしっかりしていないのに副業がうまくいかない、副業の前に現在直面している仕事をちゃんとしてから、という人もいるようです。尤もな意見のように思えますが、現在就業している職業が本当に自分にあっているかどうかも大切なポイントです。また何度かコメントしていますが続けることが大事なので、儲かりそうといった業種から始めるのではなく、遊びであっても興味のある分野を初めてみることがポイントかと思います。釣りやゲームといった分野でも続けていけば人に伝えられるものを会得でき、現在ではそれをネットで配信したり教えることで価値を作れるようになっています。

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